久々に本の紹介です♪
まだ梅雨も明けていないというのに すっかり夏休み気分に浸っていました。というのもこの本を読んでいたからです。
「しずかな日々」 椰月美智子 作 講談社文庫
2007年に第45回野間児童文芸賞と第23回坪田譲治文学賞をダブル受賞したという話題作が最近文庫本として発売されたのです。私はこんな本があることを知らなかったのですがたまたま本屋さんでみつけて買いました。もうすっごくおもしろくて夢中になって読みました。
主人公はお母さんと二人きりで暮している小学5年生の少年です。運動も勉強もさっぱりで学校にいても存在感のない幽霊みたいな子供なのですが5年生のクラス替えを機に陽気で人気者の友達ができます。その子から名前にちなんで『えだいち』というニックネームもつけてもらい学校に行くのが生まれて初めて楽しくなるのですが お母さんの仕事の都合で転校しないといけないことになるのです。えだいちが絶対に嫌だと抵抗するので お母さんは同じ町で暮らす ほぼ絶縁状態になっているおじいさん(お母さんの父親)の家で暮せるように取り計らいます。
そのおじいさんの家で暮し始めたのが夏休みが始まった日なのです。おじいさんの家は古くて大きな、テレビで見たことのあるような、だれかの田舎みたいなうちで 長い縁側があって 眺めのいい いろんな木がたくさん植わっている庭があります。 初めてできた友達の押野くんや彼を通じて知り合った友人たちも おじいさんの家にやってきて そこでの何気ない日常が描かれています。何気ないんだけれど これまで「世界はぼくと母さんだけ」のような生活を過ごしてきたえだいちにとって その夏は人生のターニングポイントとなるのです。
文章が簡潔で情景が思い描きやすくて 私はずっと映画を観ているような感覚でこの本の世界に浸っていました。ある時は実写版だったり ある時は宮崎駿さんのアニメ風だったり。映画化される予定はないんだろうか?~とか思いながら。
この本は一応児童文学のジャンルに属しているようですが 大人が読んだ方が断然おもしろいと思います。この本を読みながら自分が子供だった頃のことも思い出し えだいちと私の2つの物語が同時に展開していくような気分でした。私は人に自慢できるようなたいした子供時代を過ごしたわけではないけれど 「世界は私と母さんだけ」なんていうことはなくて ずいぶんたくさんの人と関わっていたしそれが誇りに思えてきました。
ところでこの物語ではおじいさんの家の縁側と3丁目の空き地というのが重要な役割を果たしています。えだいちも押野くんもおじいさんの家の縁側が大のお気に入りでそこが彼等の特等席なのです。
3丁目の空き地というのは3つの学区の真ん中にあってそれぞれの学校から子供が集まってきて草野球を楽しんでいる場所なのです。ここでは「他人に干渉しないで、ただその時間を楽しむこと」という暗黙のルールがあってそのことがみんなを居心地よくしているようです。
子供ながらにきちんと癒しの空間を確保しているところが素晴らしいです。
実際に読んでみないと この本のよさはわからないと思いますが 私にとっては宝物のような1冊になりました。心に残る名作というよりも この本をバイブルに生きていきたい名作だと思います。
by 西ノ森
「しずかな日々」 椰月美智子 作 講談社文庫
2007年に第45回野間児童文芸賞と第23回坪田譲治文学賞をダブル受賞したという話題作が最近文庫本として発売されたのです。私はこんな本があることを知らなかったのですがたまたま本屋さんでみつけて買いました。もうすっごくおもしろくて夢中になって読みました。
主人公はお母さんと二人きりで暮している小学5年生の少年です。運動も勉強もさっぱりで学校にいても存在感のない幽霊みたいな子供なのですが5年生のクラス替えを機に陽気で人気者の友達ができます。その子から名前にちなんで『えだいち』というニックネームもつけてもらい学校に行くのが生まれて初めて楽しくなるのですが お母さんの仕事の都合で転校しないといけないことになるのです。えだいちが絶対に嫌だと抵抗するので お母さんは同じ町で暮らす ほぼ絶縁状態になっているおじいさん(お母さんの父親)の家で暮せるように取り計らいます。
そのおじいさんの家で暮し始めたのが夏休みが始まった日なのです。おじいさんの家は古くて大きな、テレビで見たことのあるような、だれかの田舎みたいなうちで 長い縁側があって 眺めのいい いろんな木がたくさん植わっている庭があります。 初めてできた友達の押野くんや彼を通じて知り合った友人たちも おじいさんの家にやってきて そこでの何気ない日常が描かれています。何気ないんだけれど これまで「世界はぼくと母さんだけ」のような生活を過ごしてきたえだいちにとって その夏は人生のターニングポイントとなるのです。
文章が簡潔で情景が思い描きやすくて 私はずっと映画を観ているような感覚でこの本の世界に浸っていました。ある時は実写版だったり ある時は宮崎駿さんのアニメ風だったり。映画化される予定はないんだろうか?~とか思いながら。
この本は一応児童文学のジャンルに属しているようですが 大人が読んだ方が断然おもしろいと思います。この本を読みながら自分が子供だった頃のことも思い出し えだいちと私の2つの物語が同時に展開していくような気分でした。私は人に自慢できるようなたいした子供時代を過ごしたわけではないけれど 「世界は私と母さんだけ」なんていうことはなくて ずいぶんたくさんの人と関わっていたしそれが誇りに思えてきました。
ところでこの物語ではおじいさんの家の縁側と3丁目の空き地というのが重要な役割を果たしています。えだいちも押野くんもおじいさんの家の縁側が大のお気に入りでそこが彼等の特等席なのです。
3丁目の空き地というのは3つの学区の真ん中にあってそれぞれの学校から子供が集まってきて草野球を楽しんでいる場所なのです。ここでは「他人に干渉しないで、ただその時間を楽しむこと」という暗黙のルールがあってそのことがみんなを居心地よくしているようです。
子供ながらにきちんと癒しの空間を確保しているところが素晴らしいです。
実際に読んでみないと この本のよさはわからないと思いますが 私にとっては宝物のような1冊になりました。心に残る名作というよりも この本をバイブルに生きていきたい名作だと思います。
by 西ノ森
by nishi-no-mori
| 2010-06-26 15:50
| 本
大好きなタカラヅカを中心に きれいなもの 夢のあるものについて綴っています♪
by nishi-no-mori
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